1936年津山駅に造られた旧津山扇形機関車庫は延床面積2,527㎡、総工費は当時の金額で11万600円でした。機関車収容線数17は、梅小路機関車庫に次ぐ現存二番目の規模です。躯体は鉄筋コンクリート・フラットスラブ構造で、向かって右の低棟には道具置場、技工長室、修繕室、鍛冶場が置かれ、高棟は第1から第4、中棟には第5から第17の機関車収容線が敷かれていました。屋根高は低棟6,700mm、高棟8,450mm、中棟7,303mmで、第5線と第6線、第11線と第12線の間にはエキスパンションジョイントがあります。ジョイント部分で中棟は高棟に、高棟は低棟に乗りかかるように設計されています。エキスパンの役割は温度によるコンクリートの伸縮や地震による揺れの違いを吸収し、巨大コンクリート建造物を崩壊から防ぐことにあると考えられています。背面が広いガラス窓で覆っているのは、黒い蒸気機関車と煤煙によって暗くなりがちな庫内に自然光を取り入れるためのものです。それが扇形機関車庫の特徴です。